2010年11月23日、北朝鮮の砲撃を受けた韓国の延坪島(写真:Yonhap/アフロ)

 在韓米軍は、画像偵察衛星「KH-13(Key Hole 13)」やシギント(信号傍受情報)を収集する特殊偵察機「RC12X」など卓越したインテリジェンス能力により北朝鮮軍の動向を詳細にフォローしている。

 在韓米軍司令官のエイブラムズ米陸軍大将は13日、ビデオ回線を通じて記者会見し、北朝鮮軍が約30日間にわたって軍事活動を停止していたと語った。

 同司令官は、その一例として、「北朝鮮軍は24日間一度も飛行機を飛ばさなかった。最近になってようやく通常の訓練を開始したもようだ」と指摘した。

 北朝鮮は新型コロナウイルス感染を公表していないが、「感染者が出ていることはほとんど間違いないとみている」とも述べた。

 このような経緯から、3月初旬に金正恩委員長臨場の下に実施された一連の短距離弾道ミサイルや野戦砲や多連装ロケットなどによる砲撃訓練・射撃競技会は、格別の意義・目的を持ったものだったに違いない。

2幕構成の北朝鮮軍・砲撃訓練

 北朝鮮軍の砲撃訓練は2幕で構成されているようだ。第1幕は2日と9日に行われた短距離弾道ミサイルなどの射撃訓練だ。

 その意義については、3月12日に「困窮が打たせた北朝鮮の弾道ミサイル」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59659)という記事で金正恩氏の狙いなどについて書いた。

 北朝鮮は第1幕に引き続き、金正恩委員長視察の下、3月9日と12日に野戦砲や多連装ロケットなどによる砲撃訓練・射撃競技会――第2幕――を実施した。

 以下、この第2幕の意義などについて読み解いてみたい。