(英エコノミスト誌 2020年3月14日号)

ドル紙幣

法人向けの貸付残高が74兆ドルに増加している。

 この10年間、金融当局者――および一部の銀行幹部――は金融システムの再設計を試みてきた。経済的なショックを増幅するのではなく、逆に吸収する緩衝装置として機能させるためだ。

 その金融システムが今、新型コロナウイルスが引き起こす感染症「COVID-19」とそれを引き金とする経済面での不和(特に、サウジアラビアが仕かけた石油価格戦争)による厳しい試練に直面している。

 不安の震源は世界各地の企業が抱える計74兆ドルの債務だ。

 ウォール街では、無リスクの国債と高リスクの債券との利回り格差(クレジットスプレッド)が急拡大している。

 すでに全土が封鎖され、普段から銀行が経済を牛耳っているイタリアでは、インテーザ・サンパオロとウニクレディトという2大銀行の株価がこの1カ月間でそれぞれ28%、40%という大幅下落に見舞われている。

 この不安には4つの要素がある。

 企業の借り入れが長期にわたって、心配になるような増加ぶりを見せ続けてきたこと、新型コロナウイルスの発生を受けて工場やオフィスが閉鎖されたり、隔離が行われたりしているために手元の現金が枯渇する恐れが出てきていること、一部のクレジット(信用)市場が麻痺したこと、そして損失が発生すればそれを負担することになる銀行や債務ファンドの回復力が疑われること、という4点だ。

 まず借り入れから見ていこう。