いまや新型コロナウイルスの感染拡大は欧州と米国へ移り始めた

 筆者は、2月10日に「新型肺炎の裏で米中が激しい攻防」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59282)という記事で、新型肺炎の拡大にもかかわらず、米中はいささかも手を緩めることはなく、むしろそれを活用して熾烈な覇権争いを繰り広げている様子について書いた。

 米国のドナルド・トランプ大統領は3月13日、ついに国家非常事態を宣言した。

 新型肺炎はいよいよ米国本土に上陸し、米国は“本土決戦”を余儀なくされるような事態を迎えたのだ。

 このように、前稿から約1カ月余を経過し、新型肺炎拡大は新たなステージを迎えつつあり、新型肺炎拡大が世界に及ぼす影響なども徐々に明らかになりつつある。

 本稿では、新型肺炎拡大の新たな展開局面への移行とそれを踏まえた米中覇権争いの今後の展望について述べてみたい。

新型肺炎拡大は新ステージへ

 これまでに判明した新型肺炎拡大の様相を概観し、筆者なりに分析した結果は次の通り。

感染者の増加と期間の長期化

 新型肺炎は国や地域的な流行(「巨大クラスター」と呼ぶのが適切だろう)が時差をもって広がりつつある。

 最初に中国(約8万=真偽不明)で爆発的な広がりを見せ、次に韓国(約8000)・イラン(約1万2000)・イタリア(約1万8000)が後を追うように拡大した。

 世界保健機関(WHO)は11日、ついに「パンデミック」を宣言した。

 米国でも感染拡大の懸念が深まっている。タリーブ下院議員は12日、米議会で証言したモナハン医師が、米国の新型コロナウイルスの感染者数が最終的に7000万~1億5000万人に達する可能性があるとの予測を示していたことを明らかにした。