もっと利害が大きいのは、この夏に開催予定の東京オリンピックの方だ。

 安倍氏は、嘆かわしいことに普通の日本人には愛国心が足りないので、このイベントを機に養ってもらいたいと思っている。

 また、オリンピックのおかげで日本が開放的でグローバル、かつ多文化の国に見えるようになってほしいとも考えている。

 さらに、オリンピックは関連の費用が予算を大幅に超過しているとはいえ、首相を7年あまり務めて勇退する際の花道にもなる。

 この大会をキャンセルすることになれば、日本の一般市民はがっかりするだけでなく、負担しなければならなかった費用が無駄になることへの怒りも覚えるだろう。

 しかし、もしパンデミックになれば、その決定権は安倍氏の手から取り上げられる。

 何といってもオリンピック選手村が「陸上のクルーズ船」になってしまうからだ、と上智大学の中野晃一教授は指摘する。

 オリンピックは少なくとも延期になると思っておいた方がいいだろう。

 そして首相の人気の回復もかなり先にずれこむと見てよさそうだ。