(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年3月6日付)

米疾病予防管理センター(CDC)を訪れたドナルド・トランプ大統領(3月6日、写真:AP/アフロ)

 国家主権の神聖さなど、この程度だ。ウイルスは国境なんかものともしない。

 ポピュリストの指導者の世代が移民反対の横断幕を高く掲げていようが、おかまいなしだ。

 それどころか、新型コロナウイルスの世界的拡散は、国際的な相互依存という曲げようのない事実に雄弁な描写を与えた。

 ドナルド・トランプ大統領が掲げる「米国第一主義」は、ウイルス流行から身を守る役に立たなかった。

 おまけに同氏は、国際的な対応を調整している国連の専門機関、世界保健機関(WHO)への拠出金削減を強く主張してきた大統領でもある。

 全体的に見れば、トランプ氏は今回の危機を「そのうち消えてなくなる問題」として片づけようとしてきた。

 3月初めまでは英国のボリス・ジョンソン首相も同じ無頓着なポーズを取ってきた。

 首相は何しろ、欧州連合(EU)と英国の結びつきを断ち切るのに忙しい。ブレグジット(英国のEU離脱)を進めても、ウイルスを水際で止めることにはならない。

 米国とメキシコとの国境沿いに壁を作るトランプ氏のプロジェクトも、EUから「支配権を取り戻す」というジョンソン氏の公約も、高くつくだけの無力な行為だったことが明らかになりつつある。