新型コロナウイルスの感染者が急増する韓国南東部、大邱市の市庁舎で開かれた特別対策会議に出席した文在寅(ムン・ジェイン)大統領。同市では新興宗教団体の教会で集団感染が起き、政府・与党は大邱と周辺の慶尚北道について感染症の「特別管理地域」に指定して通常の遮断措置を超える「最大限の封鎖措置」を実施する方針を決めた=2月25日、大邱(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(李 正宣:ソウル在住ジャーナリスト)

 中国・武漢で発生した新型コロナウイルスの拡散は世界的な「マスク品薄」現象を招いている。とくに韓国では、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がマスク不足について国民に向けて二度も謝罪するなど、マスク品薄問題は総選挙を控えた文在寅政権の脅威と呼んでいいほど、国民世論を悪化させている。こうした状況に対して、文在寅政権が新たな取り組みを明らかにした。それは、「マスク配給制」とでも評すべき、画期的な(?)マスク分配方式の導入だった。

 5日、日本の財務省に当たる韓国の企画財政部は記者会見を開き、『マスク需給の安定化対策』を発表した。これまで文在寅政権がマスク供給についてどれほど努力を尽くしてきたかを並べ立てた後、効果的な供給に向けて新たな対策を講じる、と説明した。それこそが、ずばり「マスク配給5部制」である。

 企画財政部の発表によると、この制度が導入されれば、韓国人は毎週、1人当たり2枚のマスクを購入することができるようになるという。

生まれ年ごとに「マスクが買える曜日」限定

「配給制」の内容をもう少し詳しく見ていこう。まずマスクの購入の際には身分証明書を持参なければならない。購入先は薬局や郵便局、農協に限定した。そして購入できるのは、定められた日だけだ。マスクを買うことができる日は、出生年の下1ケタの数字を元に、「曜日別5部制」とされた。つまり最後の数字が1と6の場合は月曜日に、2と7日は火曜日に・・・という調子で、週末には平日に買えなかった人が購入できる。つまり、例えば1963年生まれに人は水曜日に購入が可能だが、もしも水曜日に買えなかった場合は土日に薬局を訪問すれば購入することができる、というものだ。