介護支援専門員(ケアマネジャー、ケアマネ)は、介護保険制度を支える要であるにもかかわらず、量、質、制度という3つの面で大きな課題を抱えている。現状の問題点と解決策を解説する。(JBpress)

※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「ゴールの見えないランニングが続く介護保険制度」を再構成したものです。

(文:PublicLab編集部 菅原直敏)

 2019年10月、介護報酬の改定が行われました。その際、基本報酬の引き上げとともに、ベテラン介護福祉士らの賃上げに向けた特定処遇改善加算が創設されました。

 この5年間、消費税の引き上げが延期されるたびに、介護現場は右往左往させられてきました。介護保険制度は発足した当初から、不完全であり、「走りながら考える」制度と形容されてきました。そして、このゴールの見えないランニングはまだ続いています。

 今回は、その中でも制度発足当初からその要として機能しながらも、さまざまな課題を抱えている介護支援専門員の現状と展望について考察します。

介護支援専門員の仕事とは

 介護支援専門員とは、ケアマネジメントを担う専門職です。一般的にはケアマネジャー(ケアマネ)と呼ばれており、こちらの呼び方の方が馴染みのある人が多いかもしれません。

 介護支援専門員は、要介護者または要支援者からの相談に応じ、心身の状況に応じた適切な介護サービスを利用できるように、市町村や介護サービス事業者などとの連絡調整を行っています。ケアプランの作成や家族との対応など多岐にわたって活躍する介護保険制度の要です。

 具体的な役割は、指定居宅介護支援等の事業の人員および運営に関する基準に定められており、内容および手続きの説明および同意、提供拒否の禁止、サービス提供困難時の対応、受給資格等の確認、要介護認定の申請に係る援助、居宅サービス計画の作成などがあります。

 指定居宅介護支援の事業は基本方針として、次のようなことが定められています。

  • 要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮して行われるものでなければならない
  • 指定居宅介護支援の事業は、利用者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、利用者の選択に基づき、適切な保健医療サービスおよび福祉サービスが、多様な事業者から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われるものでなければならない
  • 指定居宅介護支援の提供に当たっては、利用者の意思および人格を尊重し、常に利用者の立場に立って、利用者に提供される指定居宅サービス等が特定の種類または特定の指定居宅サービス事業者等に不当に偏することのないよう、公正・中立に行われなければならない

 介護支援専門員としての実務に当たるためには、都道府県知事が実施する介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、その研修の課程を修了した者が、当該都道府県知事の登録を受けることが必要となっています。介護支援専門員は介護福祉士と違い国家資格ではありません。