(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年3月4日付)

トイレットペーパーを買いに並ぶ人(3月2日、写真:ロイター/アフロ)

 日本の公共トイレの扉には、客にトイレットペーパーの節約を呼びかけ、盗まないよう丁寧にお願いする注意書きが張ってあったりする。

 2週間前の平穏だった時代には、少し気になる東京生活の不思議でしかなかった。

 ところが先週末になると、日本中の店舗で貴重なトイレットペーパーが売り切れ、安倍晋三首相がパニックを起こさないよう説き、テレビのニュース番組は全国から集まるもっと不吉な標識を取り上げた。

 トイレ内での窃盗があれば警察に通報すると書いた脅しもあれば、相次ぐ犯罪に屈してトイレを完全に閉鎖したところもあった。

 だが、日本が『蠅の王』(英国人作家ウィリアム・ゴールディングの名著)のような堕落に陥ったことを国民についに伝えたのは、2日に広まった1枚の画像だった。

 トイレットペーパーが自転車用のワイヤーロックでディスペンサーに縛り付けられた写真だ。

 ソーシャルメディアでは、「50円のトイレットペーパーのロールに自転車ロック?」といった投稿が相次いだ。

 自転車でさえカギが必要ないこともあるこの国で、そんなことをするのか?

 我々は人間なのか、野獣なのか?