(英エコノミスト誌 2020年2月22日号)

需要面と供給面の影響が入り混じる経済的な脅威
唯一恐れなければならないのは恐れることそれ自体である――。
フランクリン・ルーズベルトはそう考えていた。この指摘は数々の景気下降局面に当てはまる。
人々が不安に駆られて支出を控えることは、経済の繁栄にとって最大の脅威となる。
世界では今のところ、2000人以上の死者を出している新型コロナウイルス由来の肺炎「COVID-19」も例外ではないと見なされている。
アジアでは中央銀行が金融政策を緩和する一方で、政府が景気へのダメージを抑制しようと歳出プログラムを準備している。
しかし、COVID-19は従来型の経済的脅威ではない。
ウイルスを封じ込める対策の一環として工場の閉鎖やサプライチェーン(供給網)の切断が行われ、経済活動が抑制されているからだ。
こうした供給サイドへのショックは、不安に駆られた企業や投資家の倹約よりも対処が難しい。
一般に、人々が支出をやめれば、経済成長は鈍化してインフレ率も低下する。