2019年6月、G20大阪サミットの際に首脳会談を行ったトランプ大統領と習近平国家主席(写真:AP/アフロ)

(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

 アメリカの大統領選の候補者選びに向けたプロセスが始まりました。民主党の方は、まずアイオワ州での党員集会で38歳のブティジェッジ氏が僅差で勝利するも、続いて行われたニューハンプシャー州の予備選では逆に78歳のサンダース氏が僅差で勝利するという展開になっています。そして22日に行われたネバダ州の党員集会ではサンダーズ氏が他候補を大きく引き離して勝利しました。

 もしもブティジェッジ氏が大統領になれば「史上最年少」の大統領となります。サンダース氏や、最有力候補とされてきたバイデン氏(77)、そして3月から民主党大統領候補者になるべく本格参戦すると見られているブルームバーグ氏(78)が大統領になれば、こちらは「史上最高齢」の大統領ということになるそうです。そういう意味でも注目を集める民主党の候補者選びなのですが、対する共和党の方は現職のトランプ大統領が候補者に選ばれるのはほぼ確実となっています。

 政策面でもプライベート面でも何かと物議を醸すことが多いトランプ氏ですが、大統領選の本選でも、「やはり勝利は堅い」と予想する向きが多いようです。

 国際社会の「問題児」トランプ大統領は、なぜアメリカ国内でこうも支持を集めるのでしょうか。

米国民が評価するトランプの「変革力」

 皮肉で言っているのではなく、実は各国首脳の中でトランプ大統領は「リーダー」の原初的定義にもっとも近い資質を備えた人物なのです。

「何を言っているんだ。トランプはパリ協定やTPP、イラン核合意などから勝手に離脱してみせたり、中国に貿易戦争を仕掛けたりして国際社会を不安定化させているじゃないか。国内的にも、大減税の実施により財政赤字を膨らませたり、政権から独立しているはずのFRBに介入したり、さらには政権幹部を次々とクビにしたりと滅茶苦茶だ。最低のリーダーじゃないか」

 そんなふうに考えている人も多いかもしれません。日本では通例、社長にも首相にもなれないでしょう。

 しかし、リーダーという言葉の本来の意味は「変革者」です。周りから嫌われようが批判されようが、自分が信じた理念を押し通すために、現実を変えていこうとする人のことを指すのです。そういう視点で見れば、トランプ氏ほど立派な「リーダー」は他にいません。