東京五輪ボイコットの連鎖は起きるのか。写真は新国立競技場(写真:古城 渡/アフロ)

 やはり、もう自分の身は自分で守るしかない。厚生労働省は20日、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、大規模イベントや集会の開催について何らかのガイドラインを示すことにしていたものの「現時点で政府として一律の自粛要請はしない」などとする声明を発表した。

 会見に出席した加藤勝信厚労相によれば、イベントや集会開催の必要性は引き続き運営側の判断に委ねるとのことだったが、要は目を引くような発表事項は一切なく、これまでとほぼ何も変わらないだけの話だ。何かあったら全てあなた方、運営側の責任。やるかどうか考えなさいと言ったんだから政府は無関係ですよ——。緊急事態と言える危機的状況の中、こんな無責任な内容が政府の公式発表と言えるのだろうか。個人的には、恐ろしくて身震いがする。

 感染の広がりなどによって見直す可能性も示したとはいえ、結局は実際に危機がさらに迫って来る段階にならないと動かないということなのだから救いようがない。初動が遅れてこれだけの感染拡大につながっているにもかかわらず、この期に及んでまたしても「次の一手」に対して二の足を踏む日本政府には心底呆れ果てる。多くの海外主要メディアが、こうした日本側の危機意識の低さをこぞって猛烈に批判していることは周知の事実だ。

「五輪参加見送り」を決断しかねないロシア

 ただ現段階で大規模イベントや集会の開催自粛を決めれば、日本経済に大打撃を与えることは必至。そうなると、もうわずか5カ月後に開会式が迫っている東京五輪の開催に悪影響を与えるのも確実だ。

 だから東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の中には公然と「コロナを大げさにとらえすぎて東京五輪に無理矢理結びつけようとしている。開催の中止や延期など議論にすらなっていないし、絶対にさせない」と声を荒げる関係者が複数いる。まるで何かに憑りつかれたかのように叫ぶ彼らは東京五輪を「国民、そしてアスリートの夢」「東日本大震災や巨大台風などの自然災害で被災した人たちの希望の光」などと訴えているが、果たして本心でそう思っている人は何人いるのだろうか。