北京地壇病院を視察し医療スタッフに声をかける習近平国家主席(2020年2月10日、写真:新華社/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 例年3月初旬から2週間弱の日程で行われる「両会」(全国人民代表大会=全人代と全国政治協商会議=全国政協)が新型コロナウイルス肺炎災害のために今年(2020年)は延期されそうだ。

 2月17日に全国政協主席会議と全人代常務委員長会議が開かれて、それぞれこの問題を検討。24日に開かれる全人代常務委員会議で、全人代を延期するかどうかを正式に検討するという。新華社がこう報じているということは、ほぼ延期の方向で一致しているということだろう。

現実的に開催は困難

 1949年以来、公共衛生事件を理由とした全人代の延期はこれが初めてとなる。3月以外に開催されたのは、1984年の全人代の5月15日開幕にさかのぼる。全国政協は2020年3月3日から、全人代は3月5日から、ともに北京で開催されることが決定していた。

 確かに、この時期に北京に両会あわせて代表、委員だけで5000人前後、秘書や事務官、メディアを含めれば数万人もが集合すれば、感染拡大に拍車をかけるのは必至だろう。

 また地方の現状からいっても無理である。多くの地域は感染防止工作のために地方レベルの人民代表会議が開催できていない。湖北省の人民代表会議は1月11~17日の日程ですでに終わっているが、この会議を執り行うために感染状況の隠蔽があったと非難されており、すでに湖北省の書記を含む人民代表らが更迭されている。そのうえ、その他の人民代表もほとんど隔離措置に入っている。地方ごとに規模の差はあれど、どこも感染防止工作にてんやわんやで全人代の準備どころではないはずだ。

 なにより今、全人代で発表される予定の政府活動報告の中身は、昨年秋の段階の経済予測をもとに書かれた経済成長目標や政策であり、大幅な書き換えが必要となってくる。はっきりいって間に合わない。