(英エコノミスト誌 2020年2月14日号)

セントパトリックデーに緑にライトアップされた滝(スイス)

統一が意味することについて考える時が来た。

 アイルランドが英国から独立を勝ち取ってから100年近くになるが、その大半において、この国では2つの政党が交代で政権を担ってきた。

 ところが今年2月8日投票の総選挙で、その複占体制が崩れた。

 有権者が投じた第1位票(編集部注:アイルランドの総選挙は比例代表制で、有権者は選挙区の候補者に順位をつける形で行われる)の比率で、シン・フェイン党が首位に立ったためだ。

 1970年代、80年代、90年代を通じて爆弾や銃を使ったテロを引き起こしていたアイルランド共和国軍(IRA)とつながりのある同党は今回、医療や住宅整備への歳出拡大の公約を含む左派の綱領を掲げて勝利を得た。

 しかし、それよりもはるかに野心的な願いがあることを隠そうとはしなかった。

 同党のマニフェストには、「我が党の中核的政治目標は、アイルランド統一を達成することと、それを担保する手段となる統一についての国民投票を実現することである」と記されている。

 ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)後はスコットランド独立の可能性が大きく報じられてきたが、ほかの地域が連合王国を離れる可能性を認識すべき時が来た。

 総選挙におけるシン・フェイン党の成功は、アイルランドの統一が今後10年ほどで実現する可能性が現にある――しかも高まりつつある――と考える新たな理由の一つでしかない。

 この可能性は、アイルランドから遠く離れた国々の人々にとっても大きな意味を持っている。この島を出てよそに移り住んだ人々やその子孫は数多く、米国だけで2000万人を超える。