2月10日、北京市内のコロナウイルス対策状況を視察した習近平総書記(写真:新華社/アフロ)

 2月15日、習近平主席が唯一「連載」している中国共産党中央委員会発行の理論誌『求是』で発表した「中央政治局常務委員会会議で新型コロナウイルス肺炎疾病の対応活動を研究した時の講話」と題する論文が、中国内外で波紋を広げている。この長文の論文は、2月3日に習近平主席が書いたとされ、こんな書き出しで始まる。

<武漢で新型コロナウイルス肺炎の病状が発生した後、1月7日、私は中央政治局常務委員会会議を主催した時、すでに新型コロナウイルス肺炎疾病を防ぐ活動に対して、要求を出した。1月20日、私は病状の防止活動への特別の指示を出した・・・>

 これまで、習近平主席が新型コロナウイルスに関する対策を指示したのは、1月20日とされてきた。武漢を「封鎖」したのは1月23日だ。だが今回、「実は1月20日の指示よりも13日早く要求を出していた」と、自分で述べたのである。

 これに対し、日本も含む中国国外で、「トップの対応が遅かったと非難されたから急遽、後付けでウソをつき始めた」と批判が溢れたのだ。中国国内でもそう考えた人はいただろうが、そちらは厳しく封じ込められた。

 この問題に関して、次の三点を述べたい。

武漢の病院は軒並み「コロナウイルス専門病院」に

 第一に、いまは日本にとって、習近平という中国の指導者は「敵」ではなく「戦友」だということだ。

 もちろん、中国が発生源で日本もこんな騒ぎになっているわけだが、いま日本がやるべきことは、一刻も早く国内の新型コロナウイルスの被害を食い止めることだ。そのためには、最も多く被害が出ている中国と協力することが大事だ。

 例えば、この先、東京で患者数が1万人を超えた時に、何が問題になり、どう対処すればよいのかは、1100万都市の武漢市から教訓を学べる。