(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年2月12日付)

世界を危険に晒す可能性がある大統領

 米国のドナルド・トランプ大統領が一足飛びに自由になった。

 共和党の上院議員たちが(ミット・ロムニー氏を除いて)露骨な党派心を予想通りに発揮し、憲法から託された裁判官の役割を放棄して、大統領が権力を乱用しているか否かの判断を11月の大統領選挙に先送りしたからだ。

 これにより、トランプ氏は数多くの強みを手にすることになる。

 熱心な支持者、一枚岩の党、選挙人団の制度、そして足元の好景気といったものだ。トランプ氏の再選の可能性は高いように見える。

 再選されるかもしれないと思わせる理由のうち、最も分かりやすいのは景気だ。

 4日に行われた一般教書演説は、トランプ氏自身の基準に照らしてみても誇張に誇張を重ねたものだった。

 ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏が指摘したように、平均余命、就業率、所得格差などの重要な項目における米国のパフォーマンスは、ほかの先進国の基準に照らせばお粗末なものにとどまっている。

 また国内総生産(GDP)、雇用、失業、および実質賃金は、世界金融危機後のトレンドを概ね維持している。

 巨額なうえ容易に解消されない構造的財政赤字を生んだ財政刺激策の規模を考えれば、大した成果ではない。