(英エコノミスト誌 2020年2月15日号)

バレンタインデー当日、閑散とした北京のショッピングセンターでマスクをして床の掃除をする人(2月14日、写真:ロイター/アフロ)

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多国籍企業は混乱のリスクを真剣に受け止めてこなかった。

 新型コロナウイルスがグローバル企業にもたらす影響を垣間見るために、米国の巨大ハイテク企業アップルについて考えてみよう。

 同社は部品の供給と製品の組み立てを中国本土に大きく依存しているため、通常、ユナイテッド航空の飛行機でカリフォルニアと中国の間を行き来する幹部の人数が1日当たり約50人にのぼる。

 だが、今は違う。ユナイテッドやほかの航空会社が中国発着便の運航を停止してしまったからだ。

 また、中国での「iPhone(アイフォーン)」組み立てのほとんどを引き受けているフォックスコンは、春節(旧正月)が明けた週になっても、労働者不足のために工場をフル稼働させられなかった。

 アナリストらの見立てによれば、新型コロナウイルスのせいで今四半期のiPhoneの出荷台数は5~10%減る恐れがあり、ワイヤレスヘッドホンの人気商品「AirPods(エアポッズ)」の増産計画も頓挫しかねないという。

 新型コロナウイルス「COVID-19」の感染拡大につれ、ビジネスへの影響が大きくなっている。

 外国から中国本土に向かう旅行者と、中国本土から外国に向かう旅行者はともに激減している。日本への旅行をキャンセルする中国人旅行者は3月末までに40万人にのぼると見込まれている。

 アジアでは1隻の大型クルーズ船が、感染者が多数乗船しているために5カ国から入国を断られた(その後、ようやくカンボジアが入港を許可した)。

 シンガポール航空ショーは2018年の前回開催時に2億5000万ドルもの収入をこの都市国家にもたらしたが、今回の実績は2年前をはるかに下回っている。