昨年12月、中国・成都で首脳会談を行った安倍晋三首相と文在寅大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(李 正宣:ソウル在住ジャーナリスト)

 日本と同様、新型肺炎の拡散防止に余念がない韓国だが、文在寅(ムン・ジェイン)政権内部では今年4月の総選挙を控えて、「GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)廃棄論」が再び浮上しているようだ。

 韓国の中央日報は12日、政府消息筋の発言を引用して、大統領府から(GSOMIA)終了の主張が再浮上していると報じた。

GSOMIA破棄報道で「反日銘柄」の株価急騰

 同紙によると、現在の韓国大統領府の内部では、日本政府の対韓国輸出規制強化措置をめぐり、韓日間の協議がいまだに進展が見えない中、「このような状況なら、昨年の11月の韓日産業当局間の交渉再開を理由に終了を猶予したGSOMIAを再び終了させるしかない」という強硬論が出ていて、この気流は大統領府の安保ラインを通じて外交部に伝わったという。

 報道内容について、大統領府関係者は、「日本側と交渉を続けている」とし、「GSOMIAが終了するかどうかについては特に議論されるわけではない」と否認した。

 しかし、外交部はこの日の中央日報の報道直後、まるで記事内容を裏付けるかのような書面ブリーフィングを記者に対して行った。

「韓国政府はいつでもGSOMIAの効力を終了させることができるという前提の下、GSOMIA終了通知の効力を停止した」

「当時の(韓国政府の)措置は暫定的だったことを思い起こしたい」

「昨年の11月22日の韓日両国の合意の趣旨に基づき、日本政府は韓国に対する輸出規制措置を早期に撤回することを再び促す」