(英エコノミスト誌 2020年2月8日号)

マネジメントの従来のルールが破壊されつつある。経営者は適応する必要がある。
理屈の上では、今は企業経営者の黄金時代だ。
最高経営責任者(CEO)は絶大な権力を手にしている。米国最大級の上場企業500社のCEOたちは、計2600万人超の従業員を支配下に置いている。利益は多く、景気は好調だ。
報酬も破格で、この500人のCEOの半数は年1300万ドル以上の給料を懐に入れている。グーグルの親会社アルファベットのスンダー・ピチャイ氏はつい先日、2023年までに最大2億4600万ドルを受け取る契約を交わしたところだ。
その一方で、リスクは許容範囲に収まっている。
どの年であれ、解任されたり、引退することになったりする可能性は約10%にとどまる。
ひどい業績を残しながら、見逃してもらえることも多い。
IBMのジニ・ロメッティ氏は今年4月、8年務めたCEOを退任するが、在任中の同社の株価上昇率は市場全体のそれを202%下回っている。
シェアオフィスを運営するウィーワークのアダム・ニューマン氏は昨年CEOを解任される前に、プライベートジェットで移動中に「ハイ」になったり、40億ドルの損失を出したりした。
CEOの仕事で唯一の大きな欠点は会議が多いことで、勤務時間の3分の2を会議に費やすのが典型的だ。
それでも、当人たちは、仕事がきつくなったと話している。