2020年2月8日、台湾の基隆港に停泊中のクルーズ船「スーパースター・アクエリアス」に乗り込もうとしている防護服を着た防疫作業員。台湾から那覇に向かった同クルーズ船は、日本での寄港を拒否され、台湾に引き返していた(写真:AP/アフロ)

(譚 璐美:作家)

 NHKニュース速報(2月9日付)によると、WHO(世界保健機関)は、新型コロナウイルスをめぐって今月11日からスイス・ジュネーブで開かれる緊急会合に、台湾からの専門家の参加を認めることを明らかにした。

 今回の緊急会合には、世界各地の専門家400人が参加する予定だが、台湾の参加を認めたのは異例の措置だ。

 このニュースに接して、私が真っ先に思い浮かべたのは、2日前に見た台湾人留学生たちの悲哀に満ちた表情だった。

「中国の圧力でWHOから排除されている」と留学生が訴え

 2日前の2月7日、アメリカ・ニューヨーク市のターミナル駅・グランド・セントラル駅では、大勢の通勤客が行き交う中で、台湾人留学生数十人がボードを手にして、背中合わせで円形に立つ姿があった。ボードには、「TAIWAN into WHO」などと書かれ、新型コロナウイルスが中国で感染拡大するなか、台湾がWHOから排除され続けている現状を訴えていた。

 留学生のひとり、郭秀芳さん(仮名)は、

「中国から最も至近距離にある台湾では、今、新型コロナウイルスの感染拡大の危機にさらされています。しかし中国の政治的圧力により、WHOから締め出されて必要な情報が得られていません。その現状をアメリカの人たちにも知ってほしいのです」

 と、声を震わせた。