アマゾンプライムのバン。2018年6月、シアトル。(写真:ロイター/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムが先ごろ発表した昨年10~12月期の決算は、売上高が前年同期比21%増の874億3700万ドル。純利益が同8%増の32億6800万ドルで、2四半期ぶりの増益となった。

プライム会員、世界で1億5000万人に

 直営のネット通販事業の売上高は同15%増の456億5700万ドル。出店業者からの手数料および物流サービス収入は同30%増の174億4600万ドル。アマゾンの売り上げ項目にはこの他、実店舗販売やサブスクリプションサービス、クラウドサービスなどがある。しかし同社ではこの2つ(直営ネット通販事業と出店業者事業)の売上規模が大きく、合わせて全体の7割強を占めている。

 アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)によると、10~12月期は「プライム(Prime)」の新規加入者数が過去最高となり、世界の有料会員数は1億5000万人を超えた。

 国土の広い米国では、従来プライム会員向けの配送サービスは翌々日配送が標準だった。しかし同社は昨年、標準サービスを翌日配送に短縮するとの戦略を掲げ、物流事業への投資を拡大。迅速配送の対応地域を増やしてきた。これが奏功し、10~12月期はプライム向け当日・翌日配送が1年前に比べて4倍以上になった。

アマゾン、35億個の荷物を自社配送

 ロイター通信によると、こうしたアマゾンの施策が、米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)や米フェデックス(FedEx)の事業を脅かしているという。

 アマゾンは、「ラストマイル」と呼ばれる、最終物流拠点から顧客宅までの配送業務の多くを自社便で賄っている。そのきっかけは、2013年の年末商戦だった。アマゾンの荷物量が物流大手の処理能力を超え、商品が年末までに届かず、大混乱に陥った。それ以降、同社は自社物流網の構築に取り組んできた。

 ロイターによると、昨年1年間の自社配送による荷物の個数は35億個。同社の全世界電子商取引受注量のほぼ半分を占めるという。