上海モーターショーに出展した日産のパビリオン(2019年4月21日、写真:Featurechina/アフロ)

(花園 祐:中国在住ジャーナリスト)

 中国汽車工業協会(中汽協)によると、2019年における中国の自動車販売台数は前年比8.2%減の2576.9万台となりました。28年ぶりにマイナス成長となった2018年に引き続き、2年連続の市場縮小です(下のグラフ)。

2010~2019年 中国における年次自動車販売台数推移
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 今年(2020年)の販売について一部では楽観視する声も見られますが、中汽協は早くも同2.0%減と予測するなど、マイナストレンドが続くとの見方が強くなっています。

 市場縮小の背景には、中国経済の成長鈍化、市場飽和のほか、近年発達してきた中古車市場による新車市場の浸食などが指摘されています。

 一方、日系自動車メーカー各社は逆風の中で好調を維持し、市場シェアもドイツ系とともに拡大を見せています。今回はこうした2019年度中国自動車市場について、各種データとともに解説していきたいと思います。

中古車市場の発達が新車市場を阻害

 月次販売台数で見ても、2019年は全12カ月間にわたりマイナス成長が続きました。12月こそ前年同月比0.1%減と落幅が縮小したものの、5月には同16.4%減と大きく落ち込んでいます。

2019年 中国における月次自動車販売台数推移
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 これら販売台数の落ち込み原因については、小型車や新エネ車の販売奨励策の段階的縮小や打ち切りのほか、自動車保有台数の飽和化などが指摘されています。しかし筆者は、第3四半期記事「中国の自動車市場、完全に成長が止まった模様」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58029)にも書いた通り、中古自動車市場の急激な拡大こそが最大の原因とみています。