1月11日、2020 バドミントン・マレーシアマスターズの男子ダブルス準決勝に進出したインドネシアのヘンドラ・セティアワン選手(右)とモハマド・アッサン選手(写真:AP/アフロ)

(PanAsiaNews:大塚 智彦)

 インドネシアは世界に名だたるバドミントン王国である。オリンピックで同国に初めて金メダルをもたらしたのもバドミントンだった。1992年のバルセロナオリンピックでのことだ。その女子選手は国民のヒロインとなり、現在もナショナルチームの指導に当たっている。

 現在も、男子シングル、男子ダブルスでは数々の国際大会で優勝を重ね、女子も常に上位を狙う強豪選手を擁し、この1月にジャカルタで開催された「インドネシア・マスターズ」でも好成績を収め、改めてその底力を世界にアピールした。

 インドネシアが国を挙げて狙う次なる目標はもちろん、今年開催の東京オリンピックである。それも、紅白のインドネシア国旗を“センターポール”にいくつ揚げることができるか、に国民の関心が集まっている。

 それほど高い競技力を誇れるようになったが、「バドミントンはインドネシアのお家芸」と言われながらも、一時低迷した時代がある。国際大会で屈辱的な予選敗退を経験し、どん底まで落ち込んだ。そこからの完全復活を狙えるまでに競技力を向上させた背景には、政府、コーチ陣、そして選手らによる「王国復活」にかける並々ならぬ努力があった。

老若男女が興じる国民的スポーツ

 バドミントンはインドネシアの国技とされている。ただし、国が法令で定めたものではない。国民の間で最も人気があり、競技人口が多いのは、間違いなくサッカーだ。また、日本の相撲のように伝統的なその国独自の競技という意味では、格闘技の「プンチャック・シラット」や足を使った球技の「セパタクロー」もその名に値するのかも知れない。

 だが、国際大会で「インドネシアあり」と高い評価を受け、さらに広い国土の隅々まで子からから大人、男性も女性もが楽しんでいるスポーツといえば、バドミントン以外にはない。