(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年1月27日付)

世界経済フォーラムで会見する米国のドナルド・トランプ大統領(1月22日、写真:ロイター/アフロ)

 成長は錯覚か?――これは先週、世界経済フォーラム(WEF)年次総会の開催中に、スイス・ダボスの大通りプロムナードにあるドイツ銀行のサロンの窓のネオンに刻まれていた言葉だ。

 筆者の頭に最初に浮かんだのは、ドイツ銀行にとっては、答えはイエスかもしれないということだった。

 次に浮かんだのは、米国経済は「機会が噴き出す間欠泉」だというドナルド・トランプ米大統領の見方を信じ込んだように思える米国実業界と、ハイレベルな市場参加者を大勢含むその他の人たちの意見との溝について考えることだった。

 米国経済は確かに大方の予想より好調で、記録に残る限り史上最長の景気拡大期が続いているが、米国が「好景気」に沸いているという考えは錯覚だ。

 米労働統計局によると、前四半期の経済成長率はわずか2.1%で、バラク・オバマ前大統領の2期目の平均2.4%を下回っている。

 平時としては史上最大の年間1兆ドルの財政赤字をもたらした減税による景気刺激効果を考えると、これは驚くほど冴えないパフォーマンスだ。

 一方で、米経済分析局によれば、投資は2019年に減少し始めた。

 無理もない。米連邦準備理事会(FRB)が今、米国が支払いを続けられることを担保するために債務をマネタイズ(貨幣化)しようとしているように見えることは、多くの投資家にとって、とてつもなく大きな不安の種だ。

 FRBの動きは、目下重要な市場のストーリーが奇妙に分岐し、株式に対する強気と債券や金などの安全資産に対する強気とに均等に割れている最大の理由でもある。