(英エコノミスト誌 2020年1月25日号)

インドのモディ首相(2019年5月30日、写真:新華社/アフロ)

インドに暮らす2億人のイスラム教徒が、首相はヒンズー国家を建設しているのではないかと不安がっている。

 インドは先月、イスラム教を除くインド亜大陸の全宗教の信者がこれまでよりも容易に国籍を取得できるよう法律を改正した。

 同時に、与党・インド人民党(BJP)は、不法移民を取り締まる手段としてインドの全国民13億人を網羅する国民登録の名簿を作成したいと考えている。

 どちらも法制度に関する細かい話のように聞こえるが、この国に住む2億人のイスラム教徒の多くは、自分がインド国民であることを証明する書類を持っていないため、無国籍者になってしまうリスクがある。

 不気味なことに、インド政府は不法移民取り締まりの網にかかった人々を拘留する収容所の建設工事も発注済みだ。

 BJPは読みを誤ったと思っている読者もいるかもしれない。インドではこの法改正を受けて多方面から抗議の声が上がり、今もなお続いている。

 学生、政教分離主義者、さらには政権にこびへつらうことの多いメディアまでもが、ナレンドラ・モディ首相に反対意見を表明し始めた。

 首相がインドを、複数の宗教が共存する寛容な土地から排外主義的なヒンズー国家に変える決意であるように見えるからだ。

 実際のところ、この計画は、数十年に及ぶ煽動プロジェクトにおける、これまでで最も野心的な対策のように見える。