サンフランシスコ、ウーバー本社。(写真:AP/アフロ)

 米ウーバーテクノロジーズが、同社の配車サービスについて、米カリフォルニア州で新たな施策を講じていると米ウォールストリート・ジャーナルが報じた。

ドライバーに運賃を委ねる

 それは、配車サービスの運賃設定をドライバー(運転手)に委ねるというもの。同州の3つの空港からの乗車運賃について、ドライバーは、ウーバーが設定した料金の最大5倍を請求できるという。

 1月21日に始めた「初期の実験」とのことで、目的はドライバーに業務の裁量権を与えること。翌週には、ウーバーが設定した料金の10分の1にまで引き下げることができるオプションも用意する計画。ドライバーには運賃の自由決定権を行使しないという選択肢もあるという。このほか同社は、利用客の行き先に応じて、請け負う業務を選択できるようにもしている。

 これは同州で今年1月1日に施行された「AB5(Assembly Bill 5)」と呼ばれる新法に対抗する動きだ。こうしてドライバーの独立性を高める施策を講じることで、「彼らは事業主であり、従業員ではない」と主張し、同法の適用を回避したい考えだ。

「我々は技術プラットフォーム、旅客運送業ではない」

 カリフォルニアでは、ウーバーのような配車サービス、いわゆるギグエコノミー(Gig Economy)で働くドライバーなどの人たちを、これまでの「請負業者」ではなく「従業員」として扱うように義務付けた。

 配車サービスのドライバーは、従業員にはある福利厚生や最低賃金制度などがない。有給休暇もなく、社会保障や医療保険の会社負担もない。新法は、こうした単発の仕事を請け負うギグワーカーを保護する目的で制定された。

 その内容は、(1)企業が仕事の実績を管理・統制したり、(2)仕事の内容が企業の通常業務の範疇に入ったりする場合は、「従業員」に分類するというものだ。