(英エコノミスト誌 2020年1月18日号)

英国のバッキンガム宮殿

サセックス公爵のブランドは英国の君主制に過去最大の脅威を突きつけている。

 カール・マルクスは、資本主義が封建制度のあらゆる残滓を破壊すると予言した。

『共産党宣言』には、資本主義は「人を『生来の上役』に縛り付けた、雑多な封建的つながり」を引きちぎるだろうと書かれている。

 また資本主義は、宗教的な情熱や騎士道的な熱意がもたらす歓喜に「自己中心的な計算という冷や水」を浴びせる。そして、国のあらゆる制度が世界市場の革命的な論理にさらされることになろうなどと記されている。

 今のところ、英国の封建制度の最後の名残の一つである君主制は、マルクス主義への優れた反証になっている。

 王位はビクトリア時代の資本主義の全盛期と、市場原理主義が復活した1979年以降の両方を無事に生き延びてきた。

 ウォルター・バジョットは著作『イギリス憲政論』で、その理由を説明している。

 それによれば、英国型の君主制は資本主義を少しずつ衰えさせるどころか、反目し合う複数の階級に分裂した社会で糊(のり)の役割を担ったり、権力の真の源泉から大衆の目をそらしたりして資本主義をむしろ強化する。

 また、君主制は英国民の暮らしに華麗さ、恋愛、ミステリー、ドラマを提供し、資本主義の歯車になることの惨めさを緩和してきた。