(英フィナンシャル・タイムズ紙 2020年1月17日付)

新首相にミシュスチン氏(左)を指名したプーチン大統領(写真:ロイター/アフロ)

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとって、憲法に基づく妥当性という幻想は重要だ。選挙、議会、裁判所などの法治国家の象徴は、プーチン体制に単なる装飾以上のものを与えているからだ。

 ロシアの選挙は本当の意味での競い合いになっていないこと、議会がクレムリンの言いなりになっていること、裁判所が独立していないことは、ほかならぬロシア国民自身が誰よりもよく承知している。

 しかしこの国では、支配する者と支配される者が――少なくともそのほとんどが――幻想を維持することに協力している。

 以上が、15日に公にされたプーチン氏の最新の計画を理解するのに必要な文脈だ。半独裁の権力機構の中心に20年間居座り続けてきた大統領は、その機構の再編を企てている。

 プーチン氏が説明した正式な手順――1月半ばに指名された新しい首相、将来の憲法改正についての国民投票、大統領と議会の間における責任配分の見直し――は重要ではない。

 なぜなら、これらの手続きはいずれも幻想の一部だからだ。

 重要なのは、プーチン氏が舞台裏から振るう権力の具体的な現実だ。

 プーチン氏が裏で糸を引いていることは、クレムリンの職員なら誰でも承知しているし、一般の人々も知っている。

 知っている人々が、たとえ消極的であってもこれを容認する限り、このシステムは自ずと強化されていく。