(英エコノミスト誌 2020年1月11日号)

オーストラリアで発生している大規模な山火事で自然動物にも大きな被害。写真は助け出されたコアラ(1月10日、写真:AAP Image/アフロ)

暑くて乾燥した季節が以前よりも暑く、かつ長期化している。

 オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のカンガルーバレーという小さな町に住むブレット・ビューイーさんが自宅から逃げる時に持ち出せたのは、「数個のバッグと猫たち」だけだった。

 火の手が迫った1月4日、シドニーから南に車で数時間走ったところにあるナウラという町のボウリング場に避難した。

 ニューサウスウェールズ州とビクトリア州を中心にオーストラリア各地で発生している森林火災を受けて、ビューイーさんのように避難した人は数万人に達している。

 これまでの焼失面積は1100万ヘクタールに及び、南米のアマゾンや米カリフォルニア州でこのところ発生している火事での焼失面積の合計をも上回った。

 少なくとも26人が死亡し、約2300棟の住宅が焼けている。しかも、夏はまだ数週間続く。

 火災の被害に遭った町や村を見舞ったスコット・モリソン首相は、敵意をもって迎えられている。

 ニューサウスウェールズ州コバーゴを先日訪れた際には、腹を立てた地元住民たちから「大ばか野郎」と罵声を浴びた。

 2人の住民に握手を拒まれた時には、無理やり相手の手を握った。

 1月5日の記者会見で、首相は「責めたところで誰も救われない」と述べ、「過度な分析」は「生産的ではない」とつけ加えた。