(英エコノミスト誌 2020年1月11日号)

ソレイマニ司令官の暗殺に抗議するイランの人々(1月12日、テヘランの英大使館前で、写真:AP/アフロ)

通常兵器による攻撃は抑止したかもしれないが、イランによる核爆弾製造の加速を促した可能性がある。

 米国が1月3日にドローンを使ってイランのガセム・ソレイマニ司令官を殺害したことで、米国とイランは、1979年の在イラン米国大使館人質事件以降のどの瞬間よりも戦争に近づきそうになった。

 ショックをもたらす力を失った中東地域において、ドナルド・トランプ大統領の命令により最も重要な将官を殺害されたイランは動揺した。

 数百万のイラン国民が各地の集会に詰めかけ、現体制への不満を脇に置いてソレイマニ司令官の死を悼んだ。

 中東からは破壊を示唆する血も凍るような脅迫の言葉が放たれ、西側諸国の専門家たちは大変な事態になると警鐘を鳴らした。

 しかしその5日後、イラクにある2カ所の米軍基地に報復のロケット攻撃が行われたものの、死者は出なかった。

 この攻撃は、イランが自らのメンツを保ちながら危機を少しずつ収束させる試みだったように見えた。

 これで話が終わるのであれば、トランプ氏は1月8日に自ら示唆したように、攻撃は成功したと胸を張れるだろう。

 凶暴な人物をこの世界から排除し、イランにけんか腰な態度を控えさせることができれば、価値ある成果を上げたことになる。

 今後数カ月間で、実際その通りの展開になる可能性もある。問題は、トランプ氏本人を含めて、誰もそのような展開を当てにできないことだ。

 司令官の殺害が成功だったかどうかは、2つの観点から問われることになる。