1月6日、東京都現代美術館で開かれた東京2020公式アートポスター展で挨拶を述べる小池百合子都知事(写真:つのだよしお/アフロ)

(黒木 亮:作家)

 これまでたびたび週刊誌などでも取り上げられながら、決定的な証拠を突き付けるまでには至らなかった小池百合子・東京都知事の「学歴詐称疑惑」。アラビア語やエジプト事情に疎い日本のメディアは小池氏の学歴詐称疑惑の追及に消極的で、このままでは、この疑惑は、永遠に疑惑のまま終わってしまうかもしれない。

 小池氏の「お使い」レベルのアラビア語を聞けば、カイロ大学卒業という学歴は即座におかしいと分かる。筆者はアラビア語を学び、エジプトの大学(カイロ・アメリカン大学大学院中東研究科)を卒業した者の責務として、複数回の現地取材を含む調査で疑惑を徹底検証した。その結果、小池氏がカイロ大学の卒業要件を満たして卒業したという証拠、印象、片鱗は何一つ見出せなかった。

 これまで他のメディアが報じてこなかった小池氏の「学歴詐称」を徹底検証するレポートの第3弾をお届けする。

(前回はこちら)
徹底研究!小池百合子「カイロ大卒」の真偽〈2〉 卒論の”嘘”

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58851

カイロ大学長も存在を認める「不正卒業証書」問題

 SNSもなく、政府に不利な記事は一切書けないメディアしかなかった近年まで、表ざたになることはなかったが、実はカイロ大学などエジプトの国立大学では、長年にわたって教授や職員が関与し、“不正卒業証書”の発行が行われてきたと根強く言われている。英語では「complementary certificate」と呼ばれ、直訳すれば「プレゼントの証書」だが、実態は“不正卒業証書”である。

 この事実は、筆者が会った数多くのエジプト人が証言している。というより、否定するエジプト人は1人もいなかった。それどころか、カイロ大学の学長自身も、2015年のテレビ・インタビューで、今も“不正卒業証書”の問題があることを認めているのだ。