図書館のような公共施設の運営も、今後は企業との連携を考えていかなければならない(写真:UTS/アフロイメージマート)

 現在自治体は、2000年代初頭のエレクトロニクス業界と同様の岐路に立っている。全部の機能やサービスを自前で行う「垂直統合型」から、一部をアウトソースする「水平分業型」への転換が必要なのだ。エレクトロニクス業界と行政の両方の経験を持つ伊藤大貴氏が、その際にとるべき考え方と注意点を明らかにする。(JBpress)

※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「自治体総合百貨店時代の終焉」を再構成したものです。

(株式会社Public dots & Company 伊藤大貴)

 筆者は現在42歳。2002年に大学院を修了し、日経BP社へ記者として入社しました。理工学部出身ということもあって、日経エレクトロニクスという専門誌で記者として社会人生活をスタート。日経エレクトロニクス編集部に在籍したのは5年でしたが、今振り返ってみると、ちょうど2000年代初頭は、日本のエレクトロニクス・メーカーがピークを迎えた時でした。液晶テレビ、プラズマテレビ、DVDレコーダー、次世代光ディスク(現在のblu-ray)、デジカメ、携帯電話機とあらゆるデジタル家電のトレンドは日本が生み出していました。

 冒頭に、2000年代初頭のエレクトロニクス業界の話を持ち出したのには、ワケがあります。その後、日本のエレクトロニクス業界は押し寄せる時代の変化、産業構造の変化に対応できず、凋落を招いてしまったのですが、日本の自治体が今、直面している状況は、当時のエレクトロニクス業界とよく似ているのです。以下では20年前のエレクトロニクス業界と今の地方自治体を比較しながら、「公共サービスにおけるオープンイノベーション」について論考してみます。

体が頭についていかなかった

 もう少し、エレクトロニクス業界の話にお付き合い下さい。記者になって2年目か3年目のころだったと記憶していますが、編集部内で「垂直統合か、水平分業か」という議論があり、特集記事として取り組もうという話が持ち上がりました。

 垂直統合とは、たとえばコンピュータならコンピュータ本体、端末、ソフトウエアなどすべてを自前(自社)で開発/製造するスタイルのことです。アナログの時代は垂直統合モデルで一気通貫に開発することが企業の競争力の源泉でした。部品間で調整を行って製品全体の完成度を高める「すり合わせ」も、自社内で完結しているからできたことでした。一方水平分業とは、自社が手がける部分は限定し、ほかは外部へアウトソースするという考え方のことです。