(英エコノミスト誌 2020年1月4日号)

1月4日、レバノンの首都ベイルートにあるカルロス・ゴーン氏の自宅を出る自動車(写真:AP/アフロ)

「ル・コストキラー」が逃亡中。

 前回、カルロスという名前の国際的な逃亡犯がレバノンに身を隠したのは、「カルロス・ザ・ジャッカル」(本名イリッチ・ラミレス・サンチェス)がベイルートに潜伏した1975年のことだった。

 現在、司法から逃げている男はテロリストではなく、狂信的なコストカットで知られるセレブ経営者だ。

 2019年12月31日、仏ルノーと日産自動車の元トップで、2018年11月に金銭をめぐる不正行為の容疑で日本で逮捕されたカルロス・ゴーン氏は保釈中に姿を消し、レバノンへ逃亡した。

 ゴーン氏はレバノンで育っており、同国は日本と犯罪人引き渡し条約を結んでいない。

 ゴーン氏は、自分は日本の司法制度による「不公平さと政治的な迫害」の犠牲者だと主張している。

 一方、日本の検察当局は同氏を、司法から逃げるペテン師と見なしている。

 実際には、これは単純な倫理物語とはほど遠い。この物語の主な当事者三者――ルノー日産、日本の当局、ゴーン氏自身――は皆、答えなければならない難しい問いを突き付けられている。

 ゴーン氏は2001年に日産で実権を握り、2005年にはルノーでも経営トップに就いた。