世界の気温がまた最高を記録! 極地の氷が消える! 海面が上がる! シロクマがあぶない! アル・ゴア元米副大統領やグレタ・トゥーンベリさんなど「地球温暖化脅威論」派の環境活動家は、CO2が地球の気温を上げるせいで災いが次々に見舞うと煽り立てる。しかし本当にその通りなのか。ジャーナリストのマーク・モラノ氏が、よく聞く温暖化ホラー話の一部をとり上げて科学事実と比べてみたら・・・。(JBpress)

◎本稿は『「地球温暖化」の不都合な真実』(マーク・モラノ著、渡辺正訳、日本評論社)の一部を抜粋・再編集したものです。

南極の氷は増えている

 英国政府の科学顧問だったデヴィッド・キング教授が2004年、人間が住めるのはいずれ南極大陸だけになると予言した。温暖化で南極の氷が融け、いまの温帯は暑くなりすぎるからだという。むろん彼の予言は当たっていない。

 南極は脅威派の思いをことごとく裏切ってきた。いま南極の氷は、年ごとに最高記録を更新する。NASAは過去40年の衛星観測をもとに、「南極海氷の年間最大値は2012~2014年に増え続け、2015年は平均値まで落ちた」と分析する。2016年の海氷面積は記録的に小さくなったが、それは「特殊な向きの風が吹き荒れた」せいだという。気候科学誌の論文によると、2000~2008年の9年間に南極の海氷は年率1.4%で増え続け、2014年は、1979年以降の衛星観測時代で最大になった。

 その2014年に気候学者ジュディス・カリーがズバリと指摘。「気候モデルだと南極の海氷も減るはずのところ、ぴったり逆のことが起きている」。

 南極大陸を覆う氷も増え続けている。2015年にNASAが発表した論文は、南極が「海面上昇の原因にならず」「氷河の総質量も、減るどころかむしろ増えている」と結論した。

 オハイオ州立大学極地研究センターのデヴィッド・ブロムウィッチが2007年にこう指摘。「南極の本体に温暖化の気配はない。・・・変動要因が多いせいかもしれないが」。

 2013年のネイチャー誌論文によると、東南極(ひがしなんきょく)の氷河は1990年から増え続けている。

 2012年には極地研究家ハインリッヒ・ミラーが、南極は「少なくとも過去30年、冷え続けてきた」と書く。

 南極の氷は正常だし、中世温暖期の南極は現在と同程度かやや高温だったとわかったのに、メディアも脅威派も氷河融解のホラー話を垂れ流す。南極の氷河が融けて「数百年のうちに海面が3メートル以上も上がる」と2014年にワシントンDCのWUSAテレビが報じた。「マンハッタンのトンネルも地下鉄も水没し、フロリダ州南部の大半が海面下になる」。ワシントンDCの大半も、いずれ水面下になるだろうという。