(英エコノミスト誌 2019年12月21日・28日合併号)

AIの発展は今後、例えば医療分野や輸送分野などで人類に大きな利益をもたらすことは間違いない

技術がもたらすインパクトについて今日耳にする不安は、過去にも繰り返し論じられていた。

 より速く、より安く、より高性能に――。

 より明るい未来のビジョンを与えてくれるものとして多くの人々が頼るものの一つが、テクノロジーだ。しかし2020年代の幕が開こうとしている今、楽観論はあまり聞かれない。

 過去10年を席巻した新しい技術は、事態を悪化させているように見える。

 ソーシャルメディアは人々をつなげてくれるはずだった。2011年のアラブの春では、人々を自由にしてくれる武器だともてはやされた。

 ところが今では、プライバシーを侵害したりプロパガンダを拡散したり、民主主義を蝕んだりする側面の方がよく知られるようになっている。

 電子商取引、ライドヘイリング(送迎サービス)、ギグ・エコノミー(パートタイム経済)などは便利かもしれないが、そのツケは労働者の低賃金、格差の拡大、交通渋滞といった形で回ってきている。

 子供がスマートフォン中毒のゾンビになってしまったと心配する親もいる。

 2020年代を席巻すると見られる技術も、暗い影を投げかけているように思われる。

 人工知能(AI)は先入観や偏見を定着させ、人々の仕事を脅かし、独裁的な支配者を強化する恐れがある。