中央経済工作会議でスピーチする中国の習近平国家主席。会議は2019年12月10日から12日にかけて開催された(写真:新華社/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 先日(12月10~12日)、中国の来年(2020年)の経済政策の大筋を決める中央経済工作会議が北京で開催された。

 この会議は来年春の全人代(全国人民代表大会)で打ち出される経済政策や経済成長目標などが決められる重要会議だ。しかも来年(2020年)は中国共産党建党100周年を前にした1年であり、「全面的小康社会」達成目標の年であり、第13次5カ年計画最終年で、とにかく力強い経済成長を打ち出さなければならない1年のはずであった。

 だが実際のところ、驚くほど心もとない中身であり、谷底にある現状を耐え抜こう、という呼びかけに終始した。民生改善についていろいろ「いい話」は言っているのだが、中国が目下直面している国有企業のデフォルト問題や地方債リスク、不動産企業集団破産リスクなどに対して、どうするのかといった具体策はなかった模様。

 では、来年の中国経済はどういった状況になるのだろう。

2009年の中央経済工作会議の様子(2009年12月5日撮影、写真:新華社/アフロ)

「谷底状況」を肯定し、無理をしない

 会議では、プライオリティの最上位に脱貧困が置かれた。「“穏”の文字を看板に堅持せよ」「積極進取」「経済の実現量と功利的成長と質の穏やかな向上の確保」といった表現で、現状の「谷底状況」を肯定。財政の健全化、貨幣、雇用などの政策協同を行い実現メカニズムに落とし込む、合理的なペースでの経済運営を確保する、といった方針が打ち出された。つまり、刺激策によって高い経済成長目標を達成するのではなく、合理的な目標の実現を掲げている。無理をしない、ということだろう。