大連港を出港する中国初の国産空母「001A」(2019年11月14日、写真:Imaginechina/アフロ)

 中国共産党の強軍路線により急速に軍事力を増強させてきた人民解放軍も、中国経済の低迷や軍事技術の限界などにより、その増強に限界が露呈してきた。

 特に習近平主席が掲げる「海洋強国の夢」の焦点であった空母開発の限界や華々しく宣伝してきた対艦弾道ミサイルの限界について、その状況を各種資料を基にして明らかにしたい。

5隻目以降の空母建造を凍結

 中国の空母の開発・保有計画が大幅に下方修正された模様だ。

 11月28日付の香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、「人民解放軍海軍(PLAN)は、4隻目(国産3番艦)の空母は製造するが、5隻目(国産4番艦)以降の空母建造計画は保留中」と題する記事を掲載した。

●人民解放軍海軍の空母4隻体制

 PLANは、最終的に保有する空母の数を公には明らかにしてこなかったが、中国の専門家やSCMPなどのメディアでは、空母の必要数について5隻と6隻という数が議論されてきた。

 特に6隻の空母は理にかなっていて、米海軍では3隻を1つのグループとして運用、訓練、整備のために各1隻を当てている。

 中国では、3つの地域艦隊(北海、東海、南海艦隊)のそれぞれに2隻の空母を装備すると主張する専門家がいる。

 それぞれの艦隊では1隻の空母が運用に従事し、もう1隻を整備する態勢が確立できるという発想だ。

 しかし、5隻目以降は凍結されるという。その凍結の理由は、空母建設のコスト上昇と技術的な困難に直面したためだと報じられている。

 4隻体制では実際に常時運用できる空母は1~1.5隻にならざるを得ないと思う。

 ここで、保有するであろう4隻について解説する。