(英エコノミスト誌 2019年12月14日号)

弾劾の失敗は米国政治に大きな禍根を残すことになる

 米連邦議会下院の司法委員会は12月10日、ドナルド・トランプ大統領を権力乱用と議会妨害を理由に正式に告発した。

 重大な瞬間であり、史上3人目の大統領弾劾への序曲となった。また、これは完全に予想されたことでもあった。

 トランプ氏はほぼ間違いなく下院で有罪と判断され、上院での弾劾裁判で無罪となるだろう。

 所属政党の方針に反した行動を取る議員が一人現れたら、それだけでニュースになる。そのような造反議員が続出し、上院でも有罪になる展開は考えられない。

 トランプ氏の振る舞いは連邦議会に不快な選択を強いることになった。

 2020年の選挙を自分に有利な方向へ傾けようとしたことだけでも、トランプ氏は罷免に値する。

 しかし、弾劾が3カ月間繰り広げられた挙句、共和党議員は結局何の影響も受けず、有権者は分断されたままで、トランプ氏もホワイトハウスにとどまることになろう。

 米国にとっては悪い展開だ。

 主な事実に疑問の余地はない。トランプ氏は、ロシアを後ろ盾とする反政府勢力と戦っているウクライナ政府への3億9100万ドルの軍事支援を、一時見合わせるよう命じた。

 その一方で、非公式ルートを使ってウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー新大統領と接触し、2016年の米大統領選挙におけるウクライナの役割、および2020年の選挙でトランプ氏の対抗馬になり得る民主党のジョー・バイデン氏が不正な方法で息子のハンター・バイデン氏を守った疑惑の2点について捜査を行うと発表してくれたら、望み通りにホワイトハウスのオーバルオフィス(大統領執務室)で会談すると約束した。