楽天会長兼社長の三木谷浩史氏(2019年10月7日、写真:ZUMA Press/アフロ)

(加谷 珪一:経済評論家)

 楽天会長兼社長の三木谷浩史氏が、現在、政府内部で検討が進められている、個人情報保護法の改正やプラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業に対する規制について“日本企業に対してのみ厳しくする方向性で議論が進んでいる”として疑問の声を上げている。

 GAFAと呼ばれるグローバル企業の多くは、法律上、日本に拠点を構えていないため、罰則などを適用するのが難しい。国内企業だけが不利益になるという三木谷氏の主張はその通りかもしれない。だが、一方で、ネット企業による不公正な取引は国内企業の方が多いという調査結果もある。最終的な目的は消費者の保護であり、政府だけでなく事業者の姿勢も問われている。

政府内部で進むプラットフォーム規制の議論

 現在、政府内部では、個人情報保護法の改正とプラットフォーム規制の2つについて検討が進められている。

 個人情報保護法は2017年に10年ぶりの改正が行われたが、情報技術の進展が著しいことから、改正個人情報保護法には3年ごとに内容を見直すという規定が盛り込まれており、2020年に最初の見直しタイミングがやってくる。今回の見直しでは、個人の権利の拡大や、開示対象となるデータ範囲の拡大、事業者に対する罰則規制強化などについて検討が行われている。

 一方、プラットフォーム規制については、経済産業省や総務省で以前から議論が行われており、今年(2019年)の4月には自民党の競争政策調査会が、プラットフォーマー取引透明化法(仮称)を策定すべきとの提言を行っている。