(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年12月4日付)

スリランカで茶摘みする女性

 スリランカでラジャパスカ兄弟が権力の座に返り咲いたことは、南アジアおよび東南アジアにおける中国の不運な地政学的誤算を思い出させる出来事だ。

 2005~15年にマヒンダ・ラジャパスカ氏が大統領を務めた10年間に、中国最大級の国営企業がこぞって大規模建設プロジェクトの契約獲得に走ったが、スリランカは結局、その費用をまかなえなかった。

 5年前の選挙で政敵が予想外にラジャパスカ氏を倒し、こうしたプロジェクトの多くを縮小したり、プロジェクトを支える中国の融資の再交渉に乗り出したりした後、これが中国政府にとんだ大恥をもたらすことになった。

 そのラジャパスカ氏が今、首相として再び成功を収めている。

 弟で元国防次官のゴタバヤ・ラジャパスカ氏が先月、大統領選に勝利し、スリランカきっての有力一族に大統領の座を取り戻した後のことだ。

 だが、ゴタバヤ・ラジャパスカ氏は大統領としての初の外遊先――意味深にもインド――で、中国の経済的な抱擁に急いで戻ることはないと述べた。

 モルディブとマレーシアでも似たような話があり、野党が選挙で勝利を収め、両国と中国との金銭的、商業的取引に厳しい目が向けられるようになったことで、中国国営企業が同じように足元をすくわれている。

 中国共産党が自国で権力掌握を強めていることを考えると、共産党の支配下にある大手国営企業が諸外国で政治的な風向きの変化を読み取るのに苦労することは意外ではない。