(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年12月6日付)

12月4日、英ロンドンで開かれたNATOの首脳会議(写真:ロイター/アフロ)

 写真は撮らないでくれ――。

 英国の首相が米国の大統領とかくれんぼに興じることはめったにない。とても重要な「特別な関係」を尊重し、帽子を取って挨拶するのが習慣だ。

 ところが、ボリス・ジョンソン首相は総選挙を間近に控えている。

 北大西洋条約機構(NATO)首脳会議のために米国からロンドンにやって来た心の友、ドナルド・トランプ大統領は英国の有権者には好かれていない。

 カメラを避けようと足早に行ったり来たりするジョンソン氏を、トランプ氏は珍しいことにとがめ立てしなかった。

 この情景は、12月初めに開催されたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議をそれなりに象徴している。

 29カ国で構成されるこの同盟は、創設70周年を記念する今回の会合で将来のビジョンの策定に取り組んでもよかったはずだ。

 米国を仲間に引き込み、ソビエト連邦を退け、ドイツを抑え込むという創設時の計画には、アップデートが必要だ。

 しかし実際にはそうならず、このイベントを外交的損害最少化対策にするためのシナリオが作られた。