海岸に流れ着いた海洋プラごみは増える一方だ

海のプラスチック汚染、とくに5ミリ以下の小片に細分化された「マイクロプラスチック」が大きな問題になっている。「どこから」「何が」流出しているのか。2019年5月まで川崎市議会議員を務めていた小田理恵子さんが取り組んだ、海面/河川のマイクロプラスチック浮遊状況調査の結果を3回にわたってお伝えする。(JBpress)

※本記事はPublicLab(パブラボ)に掲載された「東京湾のマイクロプラスチックは人工芝の破片」を再構成したものです。

(文:PublicLab編集部 小田理恵子)

 2018年8~9月にかけて川崎市内の河川や港湾、計14カ所で実施したマイクロプラスチックの浮遊状況を調査しました。前回は調査の経緯とその手法について説明しました。

東京湾を漂うプラごみはどこからくるのか?
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58485

 今回はいよいよ調査結果について報告します。

抽出された固形物の約半数がポリエチレン

 結論から言いますと、調査を行った14地点のうち、13地点からマイクロプラスチックが検出されました。抽出された固形物は129個で、うちプラスチックとして同定できたものは81.4%、成分はPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PA(ポリアミド)でした。

 今回の調査で採取されたPE系およびPP系のプラスチックは比重が1.0以下の「水に浮く」プラスチックです(写真1)。水面付近の固形物を濾し取る方式のため、比重が1.0以上のプラスチックは海底や川底に沈殿し、採取できていないのでその点は考慮すべきだと考えます。

写真1:海面に浮遊するプラスチックごみ(ピリカ提供)

 成分別の構成は図1のようになりました。PEが最も多く、48%と約半数を占めます。次いで多かったのがPPで29%、PAは5%でした。残りの18%は成分まで特定することはできませんでした。すべての成分を特定するには多大なコストが掛かるため、本調査の目的である「流出経路と製品の傾向を知る」ために最低限の情報は得られたと理解しています。

図1:抽出されたプラスチックの成分別個数の割合