現実には、もちろん、EU27カ国と離脱協定に署名しても、離婚の条件以外、何も決着しない。英国の繁栄に欠かせない将来の関係の形は、次の交渉にかかっている。

 英財務省の計算は、最も好ましい結果になったとしても、失われた成長、投資、雇用で多大なコストが生じることを示している。ジョンソン氏は、この数字を秘密にしておくよう命じた。

 首相公邸に戻る道筋を描くために、ジョンソン氏は極右ナショナリストとしてナイジェル・ファラージ氏のブレグジット党を出し抜こうとした。

 このため保守党のマニフェストは、2020年12月31日をEUとの貿易協定成立の最終期日に定めた。

 この新たな期限の設定は、EU基本条約第50条に基づく離脱交渉を始めるのを急いだ時にメイ氏が犯した初歩的なミスを繰り返している。これによって、EU27カ国が時間を空費するようになるからだ。

 ジョンソン氏に残される選択肢は、英国のサービス産業を除外する必要最小限の協定か、合意なしでの一方的な離脱になる。

 状況さえ違えば、有権者には分別があるから、そんなペテン師にだまされるわけがないと人は言うだろう。しかし、ジョンソン氏には強力な味方がいる。

 1つ目は、疲弊と苛立ちが渦巻く国民ムードだ。