(英エコノミスト誌 2019年11月30日号)

蜜月だった頃のドナルド・トランプ大統領とジェームス・マティス国防長官(当時、2018年7月、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

面汚しの海軍特殊部隊隊員をめぐる騒ぎは、軍民関係をめぐる大きな危機を浮き彫りにしている。

 米国の第45代大統領は、政権を軍の幹部で固めて4年の任期をスタートさせた。その後、「私の将軍たち」と呼んでいた面々と袂を分かった。

 ドナルド・トランプ大統領は11月15日、戦争犯罪に問われた兵士2人に恩赦を与えたほか、捕虜の遺体とともにポーズを取って写真に収まったことで軍法会議で有罪とされたエディー・ギャラガー海軍特殊部隊(SEALs)隊員の降格処分も取り消した。

 海軍がギャラガー氏からトライデント・ピン(SEALsの徽章)を取り上げようとした時、トランプ氏はそのまま持たせよと命じた。

 これを聞いたリチャード・スペンサー海軍長官が、軍の司法に細かく介入するのはいかがなものかと異を唱えたところ、すぐに解任された。

(スペンサー氏には、上司であるマーク・エスパー国防長官の知らないところでホワイトハウスとの取引を試みたという告発もなされた)

 一連の出来事は、トランプ氏の大統領就任以来ギクシャクしている軍民関係をさらに悪化させることになった。

 トランプ氏が就任当初、高官のポストを埋める際に退役・現役の軍人を頼りにしたのは、十分な能力を備え、かつトランプ氏に仕えてもよいと考える文民が不足していたことの反映だった。

 しかし同時に、政策の推進にあたって軍の威光を利用しようという企みのためでもあった。

 オーバーン大学のピーター・ホワイト氏によれば、米国では1960年代のリンドン・ジョンソン政権以降、どの政権においても現役または退役した将官(将軍か提督のこと)が少なくとも1人、閣僚か幹部になっている。