(英エコノミスト誌 2019年11月23日号)

ポルトガルの首都リスボン

 ポルトガルの首都リスボンで年に1度開催される「ウエブサミット」は、ハイテクオタクのウッドストックだ。

 11月の3日間の会期中に、小さな町ほどの広さがある会場を訪れるハイテクファンや投資家は7万人を数える。

 メーンステージには、ウィキペディアの最高経営責任者(CEO)や中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の会長などがロックスターのごとく登場する。

 ほかの場所では、3Dプリンターで作られたジーンズの前に行列ができたり、スタートアップ企業の売り込みがボクシングのリングで行われたりする。

 資産運用会社が魅力的なファンディングラウンド(スタートアップ企業の資本調達プログラム)を発表し、パネリストたちは巨大な「水晶玉」を見つめながらキャッシュレスの未来を予言する。

 クレジットカード会社の大物が、コーポレートカラーと同じ色のマカロンを来場者に配る姿も見受けられる。

 しかし、こうした大騒ぎの陰でフィンテック企業の参加者たちは神経質になっている。

 数十億人のユーザーと莫大な軍資金を持つ「ビッグテック」が数十年間ためらっていたパーティーへの殴り込みを、ついに真剣に検討しているように見えるからだ。

「誰もが最も恐れているのがこのグループだ」

 データ収集を手がけるFXCインテリジェンスのダニエル・ウェバー氏はこう語る。いわゆる「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムの総称)」が軒並み動きを見せている。