(英エコノミスト誌 2019年11月16日号)

11月15日、米下院の公聴会で証言する前駐ウクライナ大使(写真:AP/アフロ)

 11月13日午前8時には、米国連邦議会下院の歳入委員会室に通じる廊下に、すでに長い行列ができていた。公聴会は午前10時以降に開始予定であるにもかかわらずだ。

 建物の入り口にはカメラが何台も据えられていた。議会のインターン(実習生)、ジャーナリスト、政治マニアなどが少しでもいい場所を取ろうと満員電車に乗っているかのごとく押し合いへし合いし、通り道を確保しようとする警察官は次第にいら立ちを募らせていった。

 観客が待っていたのは、米国ではめったに見られない政治ドラマだった。

 民主党はもう2カ月近く、大統領弾劾に向けた調査を非公開で進めてきた。その公聴会が文字通り公の場で行われることになった。

 今後2週間、米国はドナルド・トランプ大統領のウクライナ疑惑についての証言を、証人本人の口から聞くことになる。

 ウクライナの天然ガス会社の取締役だったハンター・バイデン氏――民主党の大統領候補指名争いの先頭を走るジョー・バイデン前副大統領の息子――を調査することをウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が発表するまで、ウクライナへの軍事援助を留保せよとトランプ大統領が命令したのではないか、という疑惑である。

 これから開かれる一連の公聴会は、この疑惑について最もよく知っている人々の証言を国民が聞く唯一の機会になるかもしれない。

 上院は共和党が支配しており、上院での弾劾裁判のルールは上院の投票で決められるからだ。