(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年11月9日付)

英国のオックスフォード大学

 自分が中規模の大学を運営していると想像してみてほしい。

 ある日、中国大使館から電話があり、中国共産党に反対意見を述べる厄介な習慣がある教授への懸念を表明してきた。

 電話の相手は、有力な政治家が来週、貴国を訪問すると告げてきた。もしその教授が訪問期間中にメディアに登場したら、ばつの悪いことになる。そうなれば何らかの影響が出る――。

 そんなのはばかげていると、皆さんは考えるだろう。

 だが、大学は中国人留学生からの授業料収入にかなり依存している。そこで当該教授にメッセージを送る。

 個人的な頼み事として、その週には寄稿を書いたり、話したりすることを控えてほしいとお願いする。やり取りの文書は何も残らず、表向きは何も変わらない。

 ただし、これでルビコン川を渡ってしまったことになる。

 お金のために学術的な自由を犠牲にしたからだ。そして、これはたちの悪い習慣になってしまう恐れがある。

 この物語はフィクションではない。