気が付けば、中国資本になっていたというブランドは少なくない

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 上海の人気百貨店を訪れて驚いた。名だたる高級ファッションブランドがこぞって中国企業に買収されていたのだ。

 100年の歴史を持つ英国の老舗ブランド「Aquascutum(アクアスキュータム)」。日本でも一世を風靡したイタリア生まれの「Roberta di Camerino(ロベルタ ディ カメリーノ)」。売り場の担当者によれば、いずれも「すでに中国企業に買収されています」と言う。

 中国繊維大手の山東如意科技集団がアクアスキュータムを買収したのは2017年3月のこと。同集団はその後、スイスのラグジュアリーブランド「BALLY(バリー)」も買収した。2010年に日本のレナウンを買収して世間を騒がせた企業、と言えば思い出す読者も多いだろう。

「ランバン」も「フィラ」も

 気がつけば、フランスの「LANVIN(ランバン)」も2018年に買収されていた。買収したのは復星国際有限公司だ。復星集団の基幹企業である復星国際は、ギリシャのジュエリーブランド「Folli Follie(フォリフォリ)」やアメリカのファッションブランド「ST.JOHN(セント・ジョン)」、イタリアの紳士服ブランド「Caruso(カルーゾ)」という3つのブランドにも触手を伸ばし、それぞれで第2位の株主になっている。

 また、韓国資本のスポーツウェアブランド「FILA(フィラ)」の中国子会社は、現在、中国のスポーツ用品大手である安踏集団(以下、アンタ)の傘下にある。