(英エコノミスト誌 2019年11月2日号)

近代的な油井は米国ペンシルベニア州で始まった

石油産業は衰退するかもしれないが、静かに滅びることはない。

 世界初の近代的な油井が1859年に米国ペンシルベニア州で掘られたことで、石油は経済と地政学の核心に至る軌道に乗った。

 西側世界の消費者文化興隆の原動力となり、第2次世界大戦の勝者を決める重要な要因にもなったうえ、1970年代には世界的な経済危機を引き起こした。

 ここ20年間では、中国が世界第2位の原油消費国となる一方、米国ではフラッキング(水圧破砕法)革命が起こり、1950年代以来初めてエネルギー純輸出国になる日が近づくこととなった。

 そして今、石油の物語は新たな章に入ろうとしている。

 世界がよりクリーンなエネルギーに移行するにつれ、石油の需要が低迷あるいは減少する可能性が出てきているのだ。

 昔と同じように、この時代にも経済と地政学の面で驚くような変化をもたらされることになりそうだ。

 近々行われるサウジアラビア国営の石油会社サウジアラムコの株式上場について考えてみよう。

 アラムコと言えば日量1000万バレルの石油を生産し、世界の石油生産の11%を占める大手だ。同社はアラビアン・スーパーライトだけでなく、いくつかの「最上級」を生み出したり、物議を醸したりもしている。

 アラムコが上場すれば、その時価総額は1兆ドルを優に超え、米アップルを抜いて世界で最も価値の高い上場企業になる可能性がある。