(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年11月2・3日付)

黄昏時のビッグベン

 大方のブックメーカーが予想している通り、もしボリス・ジョンソン首相が12月の総選挙で議会の過半数を獲得すれば、英国はこの冬、ようやく欧州連合(EU)から離脱するはずだ。

 今ではブレグジット(英国のEU離脱)に何の恩恵もないことが分かっているが、十分な数の残留派議員が良心から(あるいは誹謗や脅迫によって)2016年の国民投票の結果を実現する必要があることを納得した。

 英下院は10月22日、ジョンソン氏の離脱協定案を原則支持するか否かを問う「第2読会」で、僅差で同案を支持した。

 首相が再度可決を目指せば、この僅差での過半数が維持されるはずだ。

 本当のブレグジットは、英国の勇敢な一人旅の始まりになるとされていた。だが実際には、恐らく旅の終わりになるだろう。

 というのも、ジョンソン氏は離脱後、下院で可決に持ち込めるEUとの貿易協定を交渉するのに苦労するからだ。

 来年、離脱派が抱く貿易の幻想が現実とぶつかる時、新しいシナリオが浮上すると見ておいた方がいい。

 差し当たり、「Brino(Brexit in name only、名ばかり離脱)」となる筋書きがそれだ。