(写真はイメージ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 来年(2020年)の東京五輪でのマラソンと競歩がIOCの独断で札幌市に変更されることが決まった。

 私はもともと東京でのオリンピック・パラリンピックには反対だった。この考えは今も変わりはない。東京には、あまりにも何もかもが集中し過ぎている。働く場所も、人口も、交通量もすべてが東京に集まっている。飽和状態と言っても良い。観光客も多数が東京に押しかけている。日本の他の都市でオリンピック・パラリンピックを開催することは結構だが、東京で行う必要などない。

 だが、たとえそうであったとしても、今回のIOCの一方的な開催場所の変更には“ふざけるな”と言いたい。小池百合子東京都知事があくまでも東京での実施を求めたのは、当然のことだ。東京都はこれまで暑さ対策として多額の経費と時間、エネルギーをかけ、さまざまな対策を講じてきた。「地元の人の気持ちをないがしろにできない」と語り、今回の決定を「合意なき決定」と言った小池都知事の思いはよく分かる。

IOCの傲慢と森会長の無責任に呆れる

 解せないのは東京五輪大会組織委員会の森喜朗会長らの態度だ。IOCの一方的な決定に一切抵抗することなく、すんなりと受け入れているからだ。しかも東京都には知らせてもいない。一体、どこの会長なのか。仮にIOCから話があれば、主催者である東京都の意向は聞いたのか、東京都は納得しているのか、などを問いただすべきだろう。小池都知事が「どうして私には電話をくださらなかったのか」と怒りをぶつけていたのも当然だ。

 いくらIOCが傲慢だとしても、日本側の誰とも一切話し合わずに札幌への変更を決めたとは思えない。誰かが相談していたはずだ。森氏から事前に官邸などへの連絡があったという報道もある。小池都知事だけが、外されていたのだ。この一件1つとっても森氏に会長の資格はない。